【導入】
現代日本社会において、生きることとはすなわちストレスと戦うことである。あなたは日々の仕事で、学業で、はたまた降りかかる神話的現象で、心身ともに疲れ果てているだろう。
さて、ある日の帰り道。いつものごとく疲弊した身体を引き摺って歩くあなたの脳に、突如閃光のような眩いアイデアが浮かぶ。この無味乾燥砂漠と化した現代日本において、唯一許されている、脳に、身体に、直接快楽物質をぶちまける、あの魔性の食べ物───。
児嶋哲:「……たまには、お寿司でも食べに行きましょうか」
そしてあなたは、町にある寿司屋、回転寿司チェーン店、あるいは日本食料理屋へ赴くだろう。
好きな寿司の味を思い浮かべ、期待とともに寿司屋の敷居をまたいだあなたの意識は、そこで途絶えた──。
目を覚ますと、あなたは見知らぬ座敷に座っている。
日本料理屋の個室席のような部屋だ。三方を壁に、一方を襖に囲まれている。目の前には黒塗りの木製の座敷机があり、あなたは座布団に正座している。
児嶋哲:「……?」
辺りを見渡していると、襖がするりと開く。和服に身を包んだ女性が現れ、丁寧に三つ指をつく。
「この度は、日本料理布袋風へお越しくださり、ありがとうございます。当店主自慢の寿司フルコースを、どうぞ心逝くまでお楽しみ下さいませ」
そう言うと、和服の女性は部屋から出て行く。
【座敷】
日本料理屋の個室席のような部屋だ。三方を壁に、一方を襖に囲まれている。目の前には黒塗りの木製の座敷机があり、あなたは座布団に正座している。
児嶋哲:「……」
状況が呑み込めず、とりあえずお品書きを開いてみる
・机
「お品書き」と書かれた薄い冊子が置いてある。
お品書きを開く
料理の写真や絵などは一切貼られていない、文字だけの品書きだ。
日本語のようだが、うまく読むことができない。理解する前に、言葉が脳から滑り落ちてしまうような奇妙な感覚に、【0/1のSANc】です。
#SAN値チェック
51 > 49 (1D100) > 成功 > 0
児嶋哲:「これでは追加注文が出来そうにないですね…」
まあでもフルコースだと言っていたので待っていればいいかとお品書きの解読を諦める
・この場所に来る前のことを思い出したい、布袋風という店のことを知っているか、など【アイデア】
#アイデア
65 > 42 (1D100) > 成功
寿司を食べたくて店に入ったが、店名は布袋風ではなかったと思い出す。また、布袋風という店は聞いたことがないとわかる。
児嶋哲:「……入るお店を間違えてしまったのでしょうか」
児嶋哲:「しかし、フルコースは既に予約してあるようですし……」
★とりあえずお寿司を待つ
しばらくすると、また和服の女性が入ってくる。「こちらが前菜になります」と、座敷机に小皿と蓋の乗った小鉢を並べ、去っていく。
・小皿
根菜のサラダのようだ。
★食べる
・小皿
食べてみると、しゃきしゃきとした歯ごたえがおいしい。
★SAN1回復。
#SAN値
51 + 1 = 52
児嶋哲:「……」
黙々としゃきしゃき感味わってる
・小鉢
触ると熱くて火傷しそうだ。蓋を取ると、白い湯気が立ち上り、その下から薄黄色がぷるりと顔を覗かせる。茶碗蒸しのようだ。
#目星
75 > 46 (1D100) > 成功
茶碗蒸しの上に、とろりとした琥珀色のタレがかかっている。どうやら餡かけ茶碗蒸しのようだ。
★食べる
食べてみると、出汁と卵の優しい味が口いっぱいに広がる。
★SAN1d2回復
#SAN値
2 (1D2) + 52 = 54
児嶋哲:「……」
黙々と食べていく
★全部食べた
しばらくすると、和服の女性が入ってくる。「こちらが先のお寿司でございます」と、座敷机に木製の長方形の皿を並べ、去っていく。
・皿
寿司が三貫乗っている。かんぱち、蛸、ウニの寿司のようだ。
・かんぱち
淡泊そうな白身。うっすらと赤い皮が付いている。
食べてみると、適度な弾力と、しっとりとした脂の旨味がおいしい。
★SAN1d3回復
#SAN値
3 (1D3) + 54 = 57
児嶋哲:「……」
黙々と弾力を味わってる
・蛸
生の蛸足だ。今にも動き出しそうなくらい新鮮そう。
食べてみると、みずみずしく、噛めば噛むほど味が湧き出してくる。
★SAN1d3回復
#SAN値
1 (1D3) + 57 = 58
児嶋哲:「……」
黙々と噛んでる
・ウニ
輝く黄金をたっぷり乗せた軍艦。
食べてみると、濃厚な甘みとほのかな塩味がねっとりと舌に絡みつく。
★SAN1d3回復
#SAN値
2 (1D3) + 58 = 60
児嶋哲:「……」
黙々とねっとり絡みつく感じを堪能。
★全部食べた
しばらくすると、和服の女性が入ってくる。「こちらがお箸休めでございます」と、座敷机に椀を並べ、去っていく。
・椀
蓋を開けると、湯気が立ち上る。汁物のようだ。
二枚貝と三つ葉のお吸い物のようだ。しかし、貝は開いていない。
★貝をこじ開ける
貝をこじ開けようとすると、ほんの少しだけ二枚の貝殻が開く。その隙間から見えたのは、ゼラチンのように震える、灰色の物体だった。そして突然灰色の物体は緑色の閃光を発し、あなたは思わず目を瞑る。
再び目を開けると二枚貝は何事もなかったかのように固く閉じている。
何かの警告のような奇妙な現象に、【1/1d3のSANc】です。
その後貝が開くことはない。
#SAN値チェック
60 > 65 (1D100) > 失敗
3 (1D3) - 60 = 57
児嶋哲:「……!?」
急に怖くなって食事を中断
★何もしない
しばらくすると、和服の女性が入ってくる。「こちらが後のお寿司でございます」と、座敷机に木製の長方形の皿を並べ、去っていく。
・皿
寿司が三貫乗っている。海老、サーモン、大トロの寿司のようだ。
児嶋哲:「……」
黙々と警戒心ゼロで食事をしてしまったことを今更後悔。
★何もしない
しばらくすると、和服の女性が入ってくる。「こちらが食後の甘味でございます」と、座敷机に小鉢を並べ、去っていく。
・小鉢
あんみつのようだ。
色とりどりのフルーツや、多角形の幾何学的な形をした寒天らしきものが、透明のシロップのような液体の中に浮いている。
★何もしない
児嶋哲:「……」
もう帰りたい。
しばらくすると、和服の女性が入って来る。「こちらが、お上がりになります。御勘定は、帳場でよろしくお願い致します」と、座敷机に湯飲みを並べ、三つ指を付いて去っていく。
・お上がり 普通のアツゥイお茶です。
・部屋の襖
開けると襖の外は廊下になっており、この個室が廊下の突き当りにあることがわかる。
★襖から出る
廊下を進むと、無人の帳場、「厨房」と書かれた扉、そして出入り口らしき引き戸がある。
・帳場
帳場には一枚の紙が貼ってある。
「お代はお客様の笑顔の「ご馳走様」でございます。」
児嶋哲:「はあ……」
あれだけの食事が出てきたのにお題が御馳走様の一言で済むとは思えない。
やっぱり変な店だったと今更溜息。
児嶋哲:「少し調べてみましょうか」
・「厨房」と書かれた扉
「関係者以外立ち入り厳禁」と張り紙が貼ってある。鍵は掛かっていない。
#聞き耳
29 > 56 (1D100) > 失敗
児嶋哲:「なにも聞こえない……」
★厨房の中に入る
厨房の扉を開けると、そこに地面はなかった。眼下に広がるのは、混沌の闇。その中でおぞましい生物たちが煮たり焼かれたり三枚に下ろされたりしている。非現実的な光景に【1/1d6のSANc】です。(このSANcでは発狂しません)
#SAN値チェック
57 > 82 (1D100) > 失敗
6 (1D6) - 57 = 51
児嶋哲:「……!」
凄惨な光景に目を奪われていると、闇の中から、板前のような姿をした男が歩み寄って来る。
「困るなあ、ここは関係者以外立ち入り禁止なんだけど…まあいいや。君、布袋風の料理はおいしかったかい?」
その声を聞いた途端、あなたの意識が遠のく。目を開けると、初めに入ろうとしていた寿司屋から出て行こうとしているところだった。今までのことは、夢だったのだろうか…?しかし、あなたは確かに美味しい寿司を食べたという満足感を感じているだろう。
【シナリオクリア】
★クリア報酬
・料理を食べて回復したSAN全て
【補足】
出てきた料理
・前菜…黒い仔山羊の根菜サラダ、シャンタク鳥の卵の茶碗蒸し
・先の寿司…浮き上がる恐怖の触手寿司、クトゥルヒ寿司、ミ=ゴの頭寿司
・箸休め…ザーダ=ホーグラ──を模したお吸い物
・後の寿司…シャッガイの昆虫寿司、星の精の炙り寿司、ニャル様が大間沖で一本釣りした本マグロの大トロ
・甘味…ダオロスを模したあんみつ
・上がり…普通のお茶